令和3年年頭所感

               新 年 の ご 挨 拶

                                理事長 三輪 芳弘

                                                                         

 新年あけましておめでとうございます。

 令和3年の新春を迎え、年頭に当たりまして、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界経済は景気低迷の厳しい状況にあり、世界各国において大規模な経済対策が行われました。我が国においても、経済活動の抑制により令和2年4月~6月期のGDPは前期比・年率換算で28.1%減と急落し、戦後最大の減少率となりました。政府は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を定め、国民の生命と生活を守るべく、財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員して対応しているところです。

 さて、繊維業界について見てみますと、緊急事態宣言の発令に伴い、ほとんどの百貨店や商業施設は臨時休業となり、4月の衣料品売上高も前年比80%以上の減少と前代未聞の状況となりました。多くの企業が深刻な売上不足に陥る中において、業界大手の上場企業の経営破綻もありました。政府はこれまで緊急対策として持続化給付金などの中小企業支援策などを講じていますが、サプライチェーン全体の維持が急務となっております。

 Society5.0(ソサエティ5.0)という新たな社会の実現へ向けて、繊維業界におきましても衣類やファッションのみにとどまらず、人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)を組み合わせた新しい技術を積極的に活用し、スマートテキスタイルの製品開発を発展させていくことが重要となってまいります。また、自動車・建設・メディカルなど、その他の異分野における繊維の可能性を探求し、素材革命を起こしていくことや、新しい価値を創造し、それに見合う適正な価格設定の実現が求められています。さらに、若手や女性の人材育成を行っていくために、異業種や各繊維産地との連携を促進し、繊維産業の魅力を発信していくことや、社会課題の解決に貢献していくために、環境と人権に配慮したものづくりを推進し、消費者目線でのサステナビリティを追求していかねければなりません。

 繊維・アパレル・ファッション業界の不振は、サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすことになります。コロナ禍の厳しい環境下ではございますが、繊維産業全体の持続可能な成長のために企業業績の回復の実現を目指していただくとともに、品質保証体制のさらなる強化を行っていただくことで、企業としての社会的責任を全うしていただきたいと切に希望するところであります。

 最後に、本年も皆様にとり、実りのある一年でありますことを祈念いたし、新年のご挨拶とさせていただきます。