理事長 三輪 芳弘
新年あけましておめでとうございます。
令和2年の新春を迎え、年頭に当たりまして、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は東日本を中心に台風や豪雨による河川の決壊など未曽有の被害を受けました。
被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。
さて、繊維業界について見てみますと、世界の繊維最終需要量の増加しているものの、我が国の繊維産業は平成3年をピークに縮小を続けています。更に国内アパレル市場における衣類の輸入浸透率は97.6%と増加しており、海外展開の推進は必要不可欠な状況となっています。販路開拓と産地における技術力・開発力の強化を行うことで、産地全体の底上げを図り、「メイド・イン・ジャパン」としての価値を、世界に発信・提供していく必要があります。
平成27年の国連サミットで「持続可能な開発目標」(SDGs)が採択され、国内外における環境破壊や労働搾取などのないサプライチェーンの推進が、あらゆる分野の企業において求められています。繊維業界においては、衣類やファッションのみにとどまらず、AIoT(エー・アイ・オー・ティー)と呼ばれる人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)を組み合わせた新しい技術を積極的に活用していくと同時に、自動車・建設・メディカルなど、その他の異分野における繊維の可能性を探求し、素材革命を起こしていくこと、そして新しい価値を創造し、それに見合う適正な価格設定の実現が求められています。また、若手や女性の人材育成を行っていくために、異業種や各繊維産地との連携を促進し、繊維産業の魅力を発信していくことや、社会課題の解決に貢献していくために、環境と人権に配慮したものづくりを推進し、消費者目線でのサステナビリティを追求していかねければなりません。
更に、特に人手不足が深刻化している中小・零細企業は、働き方改革関連法の施行により「魅力ある職場づくり」による「人材の確保」などの環境整備がより一層求められております。
また、大手商社やグローバル企業が導入している国際会計基準(IFRS:アイファース)の収益認識に関して、日本での強制適用も予想されており、目まぐるしい環境の変化に対して、知識と経験および優れた感性を持って、海外との取引を進めるために柔軟に対応していかなければなりません。
当業界は、繊維製品の生産の多くを海外で行っていることから、責任あるサプライチェーンのための企業行動の実施と、品質保証体制の強化に向けて、社会的責任を全うしていただきたいと切に希望するところであります。
最後に、本年も皆様にとり実りのある一年でありますことを祈念いたし、新年のご挨拶とさせていただきます。
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